2009年02月27日 学会論文発表コーナー
がんの進行や手術によりリンパ浮腫など浮腫が増悪する事がしばしばある。浮腫の増悪により、重だるさによる不快感だけでなく、皮膚が硬化し疼痛が出現したり、二次的に関節運動が制限され、日常生活においてさまざまな障害を起こす。その人らしい生活を過ごすために、アロマトリートメント(以下トリートメントと略す)を実施した。その結果、リラクセーション効果と症状緩和が得られた事例の中から3事例報告する。
(精油は全てプラナロム社のものを使用)
3名とも客観的データーを測定していないが、トリートメント中や後に気持ちよいと、実施中に休まれることも多かった。Y様下肢トリートメント中に家族や病気の事を話される。トリートメント後、浮腫軽減、下肢が動かしやすくなる。母親の喜寿の祝いに外食できる。最期の日は上肢トリートメント実施、その日の夕方亡くなられる。W様の皮膚の硬化・関節拘縮に関して屈曲位はとれなかったが、皮膚は若干軟らかくなり、シワが見られる様になる。トリートメント中に病気や自分史などを話され、穏やかな表情が見られるようになる。訪問日以外は奥様が温タオルで温めたり、オイル塗布を時々されていた。A様下肢トリートメントは「バリでマッサージしてもらっているみたい、とっても気持ちよい楽になった」と京都まで車で外出される。腹水著明となり訪問開始後9日目に入院となる。3名とも気持ち良いや楽になった、動かしやすいという主観的な症状緩和は認められた。症状緩和により2名は外出も出来、QOLの向上の一助に繋がったと考える。精油の香りが良いと言われており、患者・家族にもリラックス効果があったと考える。患者とより良い人間関係を築け、患者の気持ちを自己表現できることにより、精神的に落ち着ける要因になったと考える。
中村晴美(訪問看護ステーションわたぼうし)